楽譜を譜面台に載せて、ベースを手にとる。

短く息をはいて。

曲を引きはじめた。

最初は同じ音がばっかなんだけど、
結構早いんだ、これ。

目を閉じると一緒に演奏してるメンバーが想像出来て
思わず。
歌詞を歌っていた。

「伸びた黒い髪を切り落としてしまう。愛しい人よ…」

「おぃ、  。軽音は、今日休みじゃねぇのか?」

突然、かけられた声に驚いて声がした方を向くと
窓からあいつが覗いていた。

せっかく、良い感じだったのに…。

溜息をついて、ベースを置いて

「進動将角。私とて、休みということくらい知っている。」

窓からのぞいてる
将角に向かってちょっと冷たく言った

「なら、何で…てフルネームかよっ!!」

「悪いか?」

「悪かぁないけどさぁ。」

そう言ってちょっとふて腐れたのが面白くて、思わず笑ってしまった。

「てめぇ、なに笑ってんだ」

「いや、面白くてな。」

「何が?」

「進動将角、貴殿が。」

「オレかよ!!てか、貴殿ってなんだよ!」

そうまたツッコむ将角が面白くて私はまた笑ってしまった。

「笑うなぁっ!」

「面白いときに笑う。これの何が悪いっ。」

一瞬。真顔に戻って
さらりっと言うと

「…もう、いい。」

そう言って将角はうなだれた。

やはりこやつ。
いじめがい?
いや、からかいがいがあるな。

このままこやつで
遊んでも良いが、
話を少しは聞いてやらないとな。

「で、進動将角。何故お前が軽音が休みだと知っているのだ?」

そうすると将角は、良くぞ聞いてくれましたって顔をしてしゃべりだした。

「お前んとこの部長が俺らの部活に来て言ってたんだよ。
で、お前のベースの音が聞こえたからさ。
休みって聞いてねえんじゃないかと思ってさ。」

ああ、成る程。
うちの部長は良く剣道部に顔を出すしな。
それに、軽音の部室は武道場の隣だから音が聞こえたのもわかる。
ん?
でも、こやつ。
何故私がベースだと知っているのだ?
まっ、どうせ。
部長が言ったのだろう。

「私は自主練をしてただけだ。でも、一応ありがとな。」

「一応ってなんだ!一応って!それより、お前、歌も歌うんだな。」

何を言い出すかと思えば。
まあ、いつもは部長が歌ってるしな。

「ああ、時々な。私の歌声はレアだぞ?」

そう言って、にって笑った。
ちょうどその時、武道場の方から将角を呼ぶ声が聞こえて来た。

「ぅわっ!!やべっ!帰らないと。」

「お前、勝手に抜けて来たのか?」

「あぁっ!将飛、ぜってぇキレてる!」

「それは、やばい。まぁ、頑張れ。」

「あぁ、お前もな!というか、今度なんか歌ってよ!俺にだけさ」

「…えっ?ちょっと、まっ待てよ!」

そう言った時には、既に将角の姿は窓から消えていた。











「カラオケの話なのか?最後のは。まぁ、良いか。」







そして私は、またベースを持ち、続きをひきはじめる。

「君を待つ日々は、切ない、足りない…」





着物を着せたら似合いそうな信楽鼓@鈍いヒロイン(笑)。
でも最近はわざとではという説浮上中

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